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雅夫パパ [日々のこと]

保護犬チロタンがお世話になった近所のお家のご主人、
雅夫パパが亡くなった。
一週間の入院の末、寒い寒い日曜の夜に。
それから翌日のお通夜、さらに翌日のお葬式まで、
微力ながらお手伝いさせてもらった。
家にお坊さんを迎えての家族葬。
テレビやなんかで観た事はあるけど、
近所の人や友人が取り仕切るというのは、
初めての体験だった。

久々の再会なのに挨拶の言葉が出ずに涙ぐむ古い友人たち、
「やっと楽になったね」という言葉の持つ途方もない悲しさ、
この3日間でいろいろな場面を見た。
ある日突然、
何十年もの歴史を持った人がこの世から消えるということの重さを知った。

出棺の時、ガレージにキーボードを置いて、
参列者の前で「奇跡」を歌った。
伴侶であるともこママからの依頼。
大好きだったあなたの歌で、見送ってあげたいの。
そう言って。

歌う本人が泣いてはなるまい、と思い、
震える喉を必死で制して歌ったけれど、
最後の1フレーズで耐えきれず声が切れた。
空の青がどこまでも澄んでいた。

「あなたの笑顔は本当にかわいい。心から笑っているね。
歌っている時にふいに見せる表情も、大好きです。」
そう言って数々のライブに足を運んでくれたパパ。
たぬきまつりが最後のライブになったけど、
前の方の席で写真を撮ってくれた。


設計士だった彼は、
大きな船やビル、私も縁のある佐那河内村の施設、
そしてあの動物愛護センターなど、
いくつもの建物を作り、生きた証を残している。
のんびり屋で、ちょっと頑固で、
料理も大工も得意で、なんでも作っちゃうパパ。
大阪人だけど、徳島の自然や海の幸が大好きだったパパ。
あ、お酒も。
うちのオトンも一緒に、よく晩餐に招いてもらった。
今はもういない。
突然、ふいに、あっけなく。

焼き場へも行った。
どうしたって閉口してしまうほど事務的な段取りと
電動式な設備。
駆け回る子どもにお茶を飲む大人たち。
やたらと木々が茂る庭には、冬の午後の光。

そして信じ難いことに、冗談じゃなく、
でも冗談みたいに、人が灰になった。
骨だけになって、白い手袋をはいた係の人に割り箸で砕かれて、
粉々になって、小さな壺に入った。

ともこママは言う。
彼らしく旅立てたと思う。
だから、これでよかったんや。
しんみりするのは似合わんから。
みんなで笑って見送ってあげよう。


今夜は双子座流星群が見えるらしい。
徳島市上空は晴れ、既存の星たちが瞬いている。
願い、想い、届くといいな。

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