秋ワイン

この秋はワインをよく呑む。
しかも赤。
野菜や魚に合うものをと考えるとどうしたって白だったのが、
最近は重めの赤がおいしいと思える。
三十路を越すと味覚も変わるのか。
「羊毛とおはな」を聴きながら、
くるみやレーズンをつまみながら、
猫を膝に抱えて呑むのが寂しいマイブーム。
もっとも、猫たちは私になど興味はなく、
チーズを横取りしたり、コルクを転がして追いかけたりしている。
歌詞を考えながら呑むこともあって、
そうなると、悪いクセが出る。
1フレーズ歌ったらいきなり早口でしゃべりだしたり、
同じ箇所を違う言葉で何度も歌ったり、
「う〜ん、それは違うだろ」とか一人突っ込みをしたり、
急に笑い出したり・・・
そしてグルグルと考え抜いた力作を、
酔っぱらっているせいでトイレに行って戻ってきた時には
キレイさっぱり忘れていたりして
最終的には一人で怒っている。
こんな姿は誰にもお見せできない。

今日の一枚は、
ボトルがきれいでジャケ買いしちゃった「ピア・ドール」という
南フランスのワイン。ロゼと赤、どちらもおいしかった。
ハーフボトルくらいがちょうどいい酔いごろなんだけど、
呑み足りなくて結局２本空ける。まったく不経済。
猫じゃなくて、
話し相手でもいればもっとスローに呑めるのに・・・なんて。
ないと思います。

いつも行くワイン屋さんで、
「いいところにきた！ちょうど今日解禁なんだよ！」
と勧められたイタリアの新酒は
今夜「風のガーデン」を観ながら呑む。
ボジョレーみたいなものらしいけど、
それよりはずっとしっかりした味らしい。
フランスは20日解禁。
この秋は本当にワイン漬け。私が。

力点

食器棚のうえに陳列していた酒瓶。
毎年年末に一斉撤去するのだが、
今年に入って５ヶ月が過ぎ、
ボーリングのピンさながらに何列にもなってきた今日この頃。
3匹の猫が棚に飛び乗る度にガチャガチャと音を立てて、
地震かと思っていちいちパニックになるので
思い切って捨てた。
大変だった。
私のひ弱な腕力では運べなかった。
ゴミ収集のおっちゃんも驚いたに違いない。

東京時代よりコレクションする癖があった酒瓶。
使い道ないのにどうするの？と
周囲からは度々注意されてはいたものの、
一本一本色もラベルも違うのでなかなか捨てがたい。
それに、味はもちろん、
一緒に呑んだ人との想い出や愛しい時間が染みているのだ。
あぁ！なんてちっぽけな人間なの！
空き瓶すら捨てられないって！

・・・というわけで。
スッキリした。
あまりいろいろ溜め込んだって、
部屋中過去だらけなんてくだらない。
せっかく新しい一日が毎日くるというのに。
本当に、心から大切なものだけ置いておくようにしよう。
きっとそんなのは、目に見えるモノじゃないだろうけど。

「バランスを保つべき力点が多すぎて、結果常に不安定」
今日会った人に、衝撃的な言葉を言われた。
ズバリなことを言い当てられて、
なんだか全身の力が抜けた。
そうか〜そうだったのか〜。
もっとシンプルに生きられないものか。

月明かりの下を多夢と歩いた。
となりの草むらでカエルが鳴いている。
遠くで阿波踊りのお囃子も聞こえる。
安心して、なんだか眠くなる。
今年も夏がくるんだなぁ。