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金柑ジャムは、涙味 [動物のこと]

今日はボランティアの日。
「あけおめ〜」と声高らかにドアを開けたとたん、
子犬が5匹突進してきた。
お、お前たち・・・誰?
猫だけがいるはずの事務所に、なぜか最近犬がいる。
動物愛護センターのホームページで、収容されている動物たちを
すべて掲載することになって1ヶ月弱。
迷い犬たちがお家に帰れる確率も増えた分、
処分されていく彼らを我々ボランティアが見てしまうというのも現実だ。
ハートのボスは、それが耐えられないらしい。

どうにか命を取り留めた彼らは、
狭い部屋を存分に使って団子になってじゃれ合っている。
床は排泄物でギトギトになり、おもちゃや固形フードや紙資料なんかが
ぐちゃぐちゃに散らばっていて、目を覆いたくなるような光景。
悪夢でいいから、夢であってほしいと思う。
両足ウンチだらけの子犬たちが、遊んで遊んで!
と無邪気に飛びかかってくる。
私は普段、酔っぱらって感極まった時くらいにしか泣かないんだけど、
どうしたことか、今日はそこで咳き込むように泣いてしまった。
2010年、初笑いならぬ初泣き。
つい30分前、近所のカフェでおいしい珈琲を飲みながら、
次のアルバムの打ち合わせをしていた私は、すっかり消えていた。
無邪気にまとわりついてくる彼らを抗いながらなんとか掃除をする。
排泄物を取って床を拭くだけでも1時間。
その後ごはんや水を与え、猫トイレの掃除、
電話の対応なんかを合わせると、
あっという間に帰るべき時間がきてしまう。
ろくに相手もしてやれないまま、鍵を閉める。
ドアの向こうからの鳴き声を聞くまいと、走って車に乗り込む。
汚れた服のまま、どこにも寄れず、お腹ぺこぺこのまま帰ってきた。
運転中も涙が溢れて信号が空と混ざった。
家に着いて、着替えて、
多夢や猫たちに強引にチューをした。

休みだと伝えてあったのに
間違えてレッスンに来た生徒がいたけれど、
今日はとても「せんせ」になれる状態じゃなかったので断った。
部屋中金柑色になる夕暮れ、金柑ジャムを作る。
コトコトコトコト・・・ビールを呑みながらひたすら煮込んだ。
部屋中甘い匂い。

やばかった。
今日という今日は本当にやばかった。
心が折れてしまいそうになった。
なんだろうこの気持ち。
このままずっと果てがない気がしたし、底抜けに切なかった。
動物の無邪気さを受け入れられず、人間の誰かを悪者にしようとした。
一瞬でも。
こういう時、もしも誰かがそばにいてくれたら、
私はちゃんと、強がったまま一日を乗り切れたりするんだろうか。

夕食を作る気力がなかったので、近所でお酒を呑んでいたら、
偶然、去年の夏にシマオを拾ってうちに預けたおばさんが入ってきた。
「ハートさんになにかお礼せなアカンと思いつつね〜、家も大変で」
と、それからものすごい勢いで家の大変さを私に伝えた。
もううんざりだ。
どんどん人が嫌いになる。
人に伝え続けなきゃ、希望の道は開けないのに。

グツグツ煮えた金柑は瓶詰めにして冷蔵庫へ。
きっと、全然甘くない。
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