卒業ソング [音楽のこと]
村の景色。前夜に降った雪で山の上は真っ白!興奮してひとり言炸裂。
校庭からの景色。川や畑や山々を太陽が照らす。キラキラ。
教室から、ピアノ越しに見える雪山。窓が額縁みたい。
懐かしい。けど咳が出そうだったので、役場の人と新聞記者に黒板を書かせる私。あはは。
生徒たちが書き綴った、卒業への想い。みんなして「仲間と別れたくない」。
偉ぶっていろいろ語る。せんせっぽーーーい。
Aメロ、Bメロ、サビ、胸打つ言葉をどんどん繋げてストーリーを作る。
ピアノで音を出しながら、フレーズを繋げていく。ほとんどが合唱部だという彼らは美声。
私が徳島へ帰郷してから、
毎年たいへんお世話になっている村がある。
佐那河内。
市内から車で40分ほど。
私の運転なら50分ほど。
気温が2度ほど下がり、
車を降りたとたん呼吸が軽くなるのが体感できるくらい、
空気が澄んでいる。
3地区に別れていて、そのどれの芸能祭にも呼ばれ、
じいちゃんばあちゃんからちびっこまで、
キラキラの眼差しで私の歌を聴いてくれる。
豪快で熱くて基本的に情がモノをいう・・・という村だ。
その佐那河内の唯一の中学校で、素敵なプロジェクトが進んでいる。
もうすぐ卒業する3年生の、オリジナルソングを作るという企画。
過疎化や校舎の老朽化の影響で、じきに小中一貫型になるこの村。
接待で呼ばれた(笑)豪快な呑みの席でポロッと言ったのがきっかけで、
まさか本当に採用されるなんて、思ってもみなかった。
県や村を巻き込んで、すごいことをしようとしているのだ。
人生初の受験を控え、多少なりともピリピリしているかと思いきや
芸能祭のノリとさして変わりない子どもたちとのやりとりが続いている。
3回目の訪問となった先日は、
みんなが書き出した言葉にメロディをつけて、
大まかな曲の骨組みを作った。
ここの生徒たちは、合唱のレベルが高いことで四国でも有名。
人数こそ少ないが、本当にうまい。美声。
冬の間に音楽のキャッチボールをしつつ、
3月の卒業式で披露する。
CDも作っちゃう。生徒限定で。
心に残る、というか、
市内の高校へ出て、みんなバラバラになるという17名全員の、
心の支えになるような歌にしたい。
卒業=別れ=悲しい寂しい、だけじゃなくて、
朝、通学中に歩きながら聴いて元気が出るような。
平日の村の道は、ほとんどといってもいいほど閑散としているのだけれど、
ここでもなぜかスムーズにドライブを楽しめない。
有に20台の後続車に遠慮なく追い抜かれる。
村民たちはカーブでもブレーキを踏まないんだもの。
ものすごいスピードで追い越していき、あっという間に見えなくなる。
聞こえないのに「ごめんなさい」と謝る私。情けない。
行く度に変わりゆく景色にいちいち気を取られ、
坂やカーブに戦きながらもがんばって通っているのはきっと、
素朴で無邪気でこれからのことに全力で期待している彼らを応援したいから。
私も大人になった。
つか、歳とった。