天気雨 [思うこと]
常に平常心でいたいんだ。
そう言っていた。
フラットな状態で周りと接していないと、
いざという時に向かいたい方向に舵取りできなくなるから、と。
予定よりかなり遅くなったけど、
なんとかプレス工場へデータを入稿した2日後、
彼は次のステージへと旅立った。
自分に厳しく、
社会にも厳しく、
アンテナを張り、観察をして、分析をして、
空想を形にしてきたアーティスト。
古めかしさや人間臭さが好きで、
珈琲が好きで、熱燗が好きで、
人知れず咲く草花や誰も気にとめない裏路地の看板なんかに、
いちいち足を止めていた。
私の最大の特徴であるいい加減さや、
世間外れな価値観、素直じゃないところを指摘して、
でもこんな奔放さを、らしいね、と笑い飛ばしてくれた。
そしていつだって、私の歌を側に置いてくれていた、
ひとりの、
男の、
大人なのに、
子どもで、
頑固で、
やんちゃで、
偉大なアーティスト。
彼との間に生まれたアイディアは、
今もこの胸の中に生きていて、
世に出るのを待っている。
できるかどうかは私の力量次第。
きっと、ずっと、
あんなふうに見てるんだろうな。
若干呆れながら。
でもきっと、
らしいね、と笑いながら。
ありがとう。
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